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最高裁判所第二小法廷 昭和49年(オ)48号 判決 1975年1月17日

主文

理由

上告代理人戸毛亮蔵の上告理由第一点について。

被告の同意がないため訴取下の効力を生じない場合、取下行為自体によつて訴の利益が失われるものではない。論旨は、採用することができない。

同第二点について。

破産申立債権者の破産手続における権利行使の意思の表示は、破産の申立が後に取下げられた場合においても、破産申立債権につきその手続続行中継続してされた催告として、時効中断の効力を有し、破産手続継続中はもちろん、取下の時から六カ月内に他の強力な中断方法をとることにより消滅時効を確定的に中断することができるものと解するのが相当である(最高裁昭和四五年(オ)第八五号同年九月一〇日第一小法廷判決・民集二四巻一〇号一三八九頁参照)。これと同旨の見解に立つて、上告人の時効の抗弁を排斥した原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同第三点について。

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

(裁判長裁判官 大塚喜一郎 裁判官 岡原昌男 裁判官 小川信雄 裁判官 吉田 豊)

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